第 1 章:新たな星への着陸
「今回は、皆様にはこの星で VOID 派閥を倒していただきます。」
我々のアドバイザーの声とともに、輸送ポッドが着陸した。輸送ポッドが開き、その中から我々は外に出る。
…正直、拍子抜けだ。前の灼熱の星とは全く違う、温暖で安定した気候。周囲には耕作に向く肥沃な土地、動物たち、温帯の植物が見える。
とはいえ、まずはいつも通りシェルターを建てる。とりあえずの寝床とリビングができたところで、SEN が私に声をかける。
「…怪しい…これは、確実に降下地点の条件が"調整"されている。」
「ああ、私もそう思っていたところだ…アドバイザーは VOID と言っていたな。」
「うん…今回の任務は、1 つの派閥を消すこと自体は、本質的に前の星でやっていた、帝国との戦いと変わらない…」
「ふむ…VOID 派閥が何か特殊なのか…?」
しかし、情報が足りなすぎる。ひとまずは、農業、調理、研究、娯楽といった他の生活基盤を整えることにした。
第 2 章:VOID 派閥からの最後通告
この星に降り立って 2 日目。
VOID 派閥が、向こうから連絡を取るために部隊をここへ送ってきた。曰く、「すぐにこの星から出ていけ、さもなくばこの星に滞在することを永久的な敵対行為とみなす」と。
無茶苦茶な要求だ。一朝一夕に宇宙船が完成するわけでもない。それに、目の前にいる VOID 派閥を倒さなければ、宇宙船でこの星を出たとしても「任務失敗」だ。
敵の戦力分析
SEN とアレックスが物陰から VOID 派閥の装備とインプラントを見ている。
「…これは…今の私たちでは、勝てない」
「ああ、インプラントも装備も、全身アルコテックレベルじゃねぇか。」
装備の質もさることながら、意識や移動速度、身体機能も常人の 2 倍以上だ。
戦略会議
すぐに全員を招集した。VOID 派閥から話を聞いた限り、選択肢は 3 つだ。
- 選択肢 1: 懇願し、30 日の猶予をもらう
- 選択肢 2: 丁重に断り、1 日の猶予をもらう
- 選択肢 3: 即時敵対
まずはアレックスとジョンソンが口を開く。
「奴らのあの装備にインプラントじゃ、即時敵対は全滅一直線だ、これはダメだ。」
「そうですね…1 日の猶予を得たところで、状況は変わらないでしょう。」
アレックスから VOID 派閥の武装を聞いた他のメンバーも、同意見だ。
SEN の「一夜城」作戦
次は SEN が提案する。
「結論として、恥を忍んででも 30 日の猶予をもらう…そこは変わらない」
「でもさ…そこからどうするの?ちょっと防弾装備を整えただけじゃ、あんなの絶対ムリ!」
ジュリアが問うと、SEN は祖国の 1 人の武将について語り始めた。
「私の故郷…約 500 年前の武将・豊臣秀吉は、"一夜城"と呼ばれる築城作戦を実行した。敵方には、一夜にして城が完成したように見えたことから、そう呼ばれる。
…実際には、一夜ではなく何十日かけて資材を集め、それを一気に組み立てたそうだけど。」
一見すると、関係ない話に聞こえる。だが、この状況で SEN が無意味な話をするとは思えなかった。アマンダが、続けてちょうだい、と促す。
作戦の詳細
「まずは、30 日で RV 車を最低 1 台は完成させる…30 日後、全ての家財道具と物資を RV にまとめ、全員でここを出る。」
「嘘でしょ!?」
ジュリアが驚く。確かに、早々に拠点を手放すことは、普通は受け入れられない。
しかし、RV 車。これなら、生活・生産設備や大量の物資を持って移動できる。しかも RV の荷室はスペースを妥協すれば生活できるレベルの広さだ。
「もちろん、逃げ回って終わりじゃない…襲撃が手薄になった時期を見て、ここに戻り、壁とフロア、埋没型電力線といった、敵が攻撃しない建築物を建てる。」
「なるほど、それまでは安全なキャンプ地に身を隠し、資材を蓄え、研究と装備の作成を済ませると。」
「うん…そして、VOID 派閥と戦う準備ができたその時…ここに、全ての生活基盤を移す。」
SEN は、最後にこう言った。
「豊臣秀吉の"一夜城"を、ここに再現する。」
第 3 章:国境なき軍隊との出会い
ビッグボス率いる「国境なき軍隊」がこのコロニーへ挨拶に来た。VOID 派閥とは違い、彼らは友好的な派閥のようだ。
当然ながら、友好派閥の来訪は大歓迎だ。向こうも友好関係を望んでいるようで、彼らがここを去るときに数個の最先端医薬品とワインを譲ってくれた。
どうやら、希望するなら「国境なき軍隊」で仕事を融通してくれるようだ。彼らは、キャンプを回り続ける生活で大きな助けとなってくれるだろう。
モスキートの加入
そして、春の終わりごろ。
「国境なき軍隊」に所属するモスキートと名乗る人物から、「裏切り者に追われているから助けてくれ」との依頼が来た。当然、受け入れる。物資を分けてもらったのだから。
追手を退治しながら、アレックスが隣で、彼の銃火器の取り扱いの腕を見ていた。
「こりゃあ助かる。即戦力だ!」
アレックスが太鼓判を押すのだ、その通りだろう。彼は医術にも精通しているようで、まだジョンソンにはかなわないとはいえ、処置も上手い。
「モスキートさん…彼を保護したことで、国境なき軍隊からの評価も上がっている。一石二鳥どころじゃない。」
「ああ、生産作業は苦手のようだが、雑用を代わってもらえば済む話だ。」
SEN と私…ジャスパーが、リビングで「これからも着いてきてくれないか」とモスキートに持ち掛ける。
彼の返事は、実にシンプルだった。
「ああ、いつでも頼ってくれ。」
第 4 章:帝国貴族への警告
モスキートが仲間になる数日前のこと。
SEN はある 1 人の囚人に話しかけていた。…強欲な彼女が、保護すると見せかけて捕まえていた、帝国貴族だ。
もちろん、看守の心得どころか、社交性すらない彼女は、普段はこんなことをしない。
秘密の交渉
物陰から耳をすませば、SEN は…その帝国貴族に「警告」を発していた。
「…秋の初め頃、私たちは全員でここを出るつもり…VOID 派閥に追われるから。もちろん貴方も、引っ張ってでも連れていく。」
「そんな馬鹿な、出ていったところでどうするつもりです!?」
「…策はある。今はその準備段階…ついてくるなら命の保証くらいはする。」
「はあ…とても信じがたいですね」
「…それとも、帝国もろとも VOID 派閥に消されたいなら…ここから出してあげるけど。」
「ま、待ってください、考えさせてください…!」
「賢明な判断をすることね…それでは。」
そう言って、SEN は兵舎に戻っていった。
どうやら、この星の帝国をはじめ、他の派閥にも VOID 派閥がどれだけ強力で、理不尽なのか伝わっているようだ。
しかし、無論だが、貴族を騙して捕らえた行為は帝国への敵対宣言。どちらにしても、関係改善といった後始末は、責任を取らせる形で彼女…SEN に一任している。
…もし、SEN の行いが吉と出たなら。帝国との交渉窓口兼サイキッカーが 1 人、仲間になる。


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